遺言は家族のためのもの

 遺言(ゆいごん、いごん、いげん)とは、日常用語としては形式や詳細にかかわらず広く故人が自らの死後のために遺した言葉や文章をのことをいいます。その場合ゆいごんと読まれる場合がよく見られます。民法上においては死後の法律関係を定めるための最終意思の表示をいい、いごんと読まれることが多くて、法律上の効力を生じせしめるためには、民法に定める方式に従わなければならないとされています。 書式に関しては詳しい書き方のテンプレートが各所にございますので、そちらを利用するか、無料質問所等で質問をされるといいかと思われます。

要式行為

 遺言は民法に定める方式に従わなければ行うことができない要式行為(ある程度の方式によることを必要とした行為)ですので、960条により方式に侵害する遺言は無効とされております。

単独行為

 遺言は相手方のない単独行為ですので、代理等は認められません。

死因行為(死後行為)

 遺言は遺言者の死亡後に効力が生じる法律行為であると985条により定められています。

遺言能力

 満15歳より上の者は遺言をすることができ、遺言は本人の最終意思を確認するものであるため、代理に親しまない行為であることから、未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人が遺言をする場合であっても、同意権や取消権をその保護者は行使することができません。ただし、医師2人より上の立ち会いの下で正常な判断力回復が確認された場合にのみ成年被後見人については遺言をすることができるとされています。

遺言の機能

 遺言の最も基本な機能には、遺産の処分についてちゃんと自分の意見を反映させることができるということです。最終的には法律の範囲内でという形にはなりますが、被相続人の意思を反映させることができます。被相続人の意思である遺言を尊重するため、相続規定には任意規定が多く(ただし遺留分規定等強行規定も少なくない)、遺言がない場合は、民法の規定に従って相続が行われます(法定相続)。これに対し、遺言を製作しておくと、遺産の全体または個々の遺産を誰が受け継ぐかについて自らの意思を反映させることができます。遺贈の方法により、相続人以外の者に遺産を与えることも可能となっています。

 遺言がない場合は、通常、相続手続には相続人全員で共同して遺産分割協議書を製作し、登記所、金融組織等に提出しなければなりません。相続人の間で合意が得られない場合、相続人が行方不明となっていたり遠方に居住している場合等には、遺産分割協議書の製作は困難な仕事です。加えて、相続税の申告期限である10か月以内に分割が確定しない場合は、各種の軽減特例を受けられない等の欠点があります。

 遺言でどの財産を誰に相続させるかを明確に記載することにより、当該相続人は不動産の所有権移転登記を単独で行うことができます。また、遺言で遺言執行者を指定することにより、預貯金の払戻しを円滑に行うことができます。このように遺言には、相続に関するさまざまな手続に関する遺族の負担を軽減するという業務上の利点もあるのです。

 遺産の処分に関連しない行為(未成年後見人の指定等)も遺言によって行うことができます。また、生前に行うこともできるし、遺言によっても行うことができる行為があります。

「相続させる」旨の遺言

 判例によって、特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」旨の遺言は、遺産分割方法の指定と解するとされ、当該遺産が不動産である場合、当該相続人が単独で登記手続をすることができるとされていることから、利用価値が非常に高いとされています。これは税制改正以前は登記に関して必要となる登録免許税が遺贈の場合に比較して低額であるという利点もあり、さらに、「相続させる」遺言によって不動産を取得した相続人は、登記なくしてその権利を第三者に対抗することができるとの判例が出たことから、他の相続人の債権者による相続財産の差押えを未然に防止することができるという利点も生まれました。

遺言の方式

遺言の方式には普通方式遺言と特別方式遺言があります。

  • ◇普通方式遺言
  • ◇自筆証書遺言

条件

  • ◇遺言書の全文が遺言者の自筆で記述(代筆やワープロ打ちは不可)
  • ◇日付と氏名の自署
  • ◇押印してあること(実印である必要はない)

 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければいけません。もしこれを滞らせたり、隠匿した場合は相続の権利を失うこととなります。

公正証書遺言

 遺言詳細を公証人に口授し、公証人が証書を製作する方式。証人2名と手数料の用意が必要となってます。推定相続人・受遺者等は証人となれません。公証人との事前の打ち合わせを経るため、詳細の整った遺言を製作することができます。証書の原本は公証役場に保管され、遺言者には正本・謄本が交付されます。遺言書の検認は不要です。公証役場を訪問して製作するほか、公証人に出向いてもらうことも可能です。

秘密証書遺言

 遺言詳細を秘密にしつつ公証人の関与を経る方式で、証人2名と手数料の用意が必要であるほか、証人の欠格項目も公正証書遺言と同様です。代筆やワープロ打ちも可能ですが、遺言者の署名と押印は必要であり、その押印と同じ印章で証書を封印することになっています。代筆の場合、証人欠格者以外が代筆する必要があります。遺言者の氏名と住所を申述したのち、公証人が証書提出日及び遺言者の申述詳細を封紙に記載し、遺言者及び証人と共に署名押印します。遺言書の入った封筒は遺言者に返却されます。自筆証書遺言に比べ、偽造・変造のおそれがないという点は長所でありますが、紛失したり発見されないおそれがあります。遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならないとされています。

特別方式遺言

普通方式遺言が不可能な場合の遺言方式。普通方式遺言が可能になってから6か月間生存した場合は、遺言は無効となってしまいます。

一般危急時遺言

 疾病や負傷で死亡の危急が迫った人の遺言形式で、証人3人より上の立会いが必要となります。証人のうちの1人に遺言者が遺言詳細を口授し、遺言不適格者が主導するのは禁止とされています。また口授を受けた者が筆記をして、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、または閲覧させるという方式をとります。各証人は、筆記が正確なことを承認した後、署名・押印します。20日以内に家庭裁判所で確認手続を経ない場合、遺言が無効となってます。

難船危急時遺言

船舶や飛行機に乗っていて死亡の危急が迫った人の遺言方式(979条)。証人2人より上の立会いが必要。証人の1人に遺言者が遺言詳細を口授します。口授を受けた者が筆記をして、他の証人が確認し、各証人が署名・押印したあと、遅滞なく家庭裁判所で確認手続を経る必要があります。

隔絶地遺言

一般隔絶地遺言

伝染病による行政処分によって交通を断たれた場所にいる人の遺言方式(977条)。刑務所の服役囚や災害現場の被災者もこのような方式で遺言をすることが可能で、警察官1人と証人1人の立会いが必要となっています。この場合家庭裁判所の確認は不要です。

船舶隔絶地遺言

船舶に乗っていて陸地から離れた人の遺言方式(978条)。飛行機の乗客はこのような方式を選択する事はできありません。船長又は事務員1人と、証人2人より上の立会いが必要となり、家庭裁判所の確認は不要です。

遺言の種類によって方法は色々

 以上のように遺言の種類によってもそれぞれのルールは異なってきます。特別な理由がなければ公正証書遺言を作ることをオススメしております。

遺言が必要!